かんけりっ!
その一瞬の間。
僕は円の中に足を踏み入れる。
何の変哲もない。いつもとまるで変わらない。
練習で踏みしめてるレンガ造り。
堅い感触。
なのに何もかもが違う気がした。
それは何か。
空気?
天候?
時間?
展開?
人?
わからない。
ただ一つわかるのは、これ勝負の行方だけ。
すぐ、背後に真乃枇杷の存在を感じた。
背中にいるはずの真乃枇杷が、まるで見えてるみたいに。はっきりと。
手を伸ばし。
必死に叫ぶ様を。
だが、残念だ。
この勝負。
僕達の勝ちだっ!!
赤を基調とした、瑞々しい桃が表面にプリントされた500ミリリットル缶が宙を舞う。
そして、缶を蹴り飛ばした者を祝福するかのようなチャイムが校舎に鳴り響いた。
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