かんけりっ!
青と白のボーダーパンツ。そこからスラリと伸びる足。はためくスカート。
誰かが僕を、と言うよりベンチを飛び越えたのだ。
ボーダーパンツの主が巻き起こす、朝特有の水気を含んだ爽やかな風が僕を吹き抜ける。
それは、いい匂いがした。
直後、再び地面との再会を果たした彼女の足はまるで稲妻の様。
整えられたアスファルト舗装の道を駆る稲妻は一直線に、不自然に置かれたジュースの缶へと突き進み、そして。
『カンッ』
乾いた音を伴ってそれは宙にアーチを描く。
缶はまるでホームランのような軌道。
彼女はまるでゴールを決めたような態勢。
共通するのは『試合』を決めたような歓喜と悲嘆の入り混じったなんとも言えない空気。
それが僕と、彼女との初めての出会いだった。