かんけりっ!



それに加えて、今年はあの人の弟が入学した。


それに入部してくれた。


フランシアの気持ちを考えるなら控えるべきだったかも知れない。


だが、桃東とてあの人を好いている。


好いているからこそあの人の作ったこの『缶蹴同好会』は残したかった。潰したくなかった。


それに、きっとどこか。胸の奥の方で思ってしまったのかも知れない。


「あの人の弟なのだから、きっと強いはず」と。


自分は、本当につまらない人間だ。


淡白で、狡(ずる)くて卑怯な人間だ。


自分の希望の為なら人の事など考えない。


フランシアの事。それに、彼。夏樹も無理やりに入部させたのだ。


一つ、乾いた笑いを漏らす。


「姫様、ありがとう。もう、大丈夫」


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