かんけりっ!
自称忍者の金髪美人が小さくそう言った。
そう。桃東はそう返すとフランシアを解放した。
フランシアは僅かに目を赤くして、ズズーッと鼻を鳴らす。
ハンカチを手渡そうとしたが。
「使うといいよ。フランシア」
反対側からハレルヤがハンカチを手渡す。
フランシアは無言でそれを受け取り、それで鼻をかむ。
躊躇のなさは流石だ。なんて無意味な感想を述べておいた。
そのうち誰かからともなく三人は正門へと歩き始めた。
夜の冷えた空気が桃東は気持ち良かった。
別に暑さが苦手な訳じゃないがただ部活で火照った体にはそれが気持ち良かっただけの事だ。
「所でアズマ」
「うん?」
桃東とフランシアが並び、その僅か後ろにハレルヤが付く。
そのいつもの並びの関係上、桃東は肩越しに振り返りハレルヤを向く。
足は動かしたままに。