かんけりっ!
その男、『勇者』
★ ★ ★
暗い部屋。それになんだかカビ臭い。
それが『彼女』の、部屋に入っての第一印象だった。
こんな所を好む人間なんているのだろうか?
『彼女』はそう問い、それから薄く笑んだ。
いるじゃないか、そんな奴が。
それも目の前に。
暗闇の中、「コツン」と何かが置かれる音がした。
「何がおかしい?」
暗闇に浮かび上がった、二つのくすんだ光。
声はまるで嗄れ、暗闇に紛れる『彼』の動きは酷く鈍い。
きっと『彼』を同級生だと知らなければ年の一回り二回り位の年の差があるものだと勘違いしてただろう。
けど『彼』は紛れもなく『彼女』と同い年。
しかし暗闇の中の『彼』にそのような若々しさは存在しなかった。