かんけりっ!



しかして私を捜す『鬼』もあのイレギュラーを訝しんでいる。


多分、理由は同じなんだろう。


けれど、愚か者め。


この戦の最中、敵以外に気を取られるなど愚の骨頂。


瞬間、『彼女』の身体は一陣の風となる。


地面と水平に、まるで地を這う戦闘機の如く疾駆し。


かの『鬼』の脇をすり抜けた。


『鬼』は小さく驚きの声を上げ、『彼女』に手を伸ばす。が。


ーー遅い。


勝負はその一瞬で決まった。


「アズマ、見つけた!!」


そんな声が流れ行く後方から『彼女』に届く。


しかし『アズマ』と呼ばれた少女にはもう、関係のない事。


この学校に『彼女』より足の速い人間は片手に数える程しかいない。


そしてその中に今の『鬼』は含まれていない。


< 9 / 358 >

この作品をシェア

pagetop