かんけりっ!
しかして私を捜す『鬼』もあのイレギュラーを訝しんでいる。
多分、理由は同じなんだろう。
けれど、愚か者め。
この戦の最中、敵以外に気を取られるなど愚の骨頂。
瞬間、『彼女』の身体は一陣の風となる。
地面と水平に、まるで地を這う戦闘機の如く疾駆し。
かの『鬼』の脇をすり抜けた。
『鬼』は小さく驚きの声を上げ、『彼女』に手を伸ばす。が。
ーー遅い。
勝負はその一瞬で決まった。
「アズマ、見つけた!!」
そんな声が流れ行く後方から『彼女』に届く。
しかし『アズマ』と呼ばれた少女にはもう、関係のない事。
この学校に『彼女』より足の速い人間は片手に数える程しかいない。
そしてその中に今の『鬼』は含まれていない。