hatching
高校の制服を着て
胸下まで伸びた髪をとかし
簡単にメイクを済ませて
部屋を出て下へ降りる。
キュ…キィー
「恋、起きたのか。
ご飯食べな。」
車椅子に乗ったお父さんが
愛ちゃんと同じ
顔をクシャッとして笑う。
『うん、ありがとう。』
私も笑顔で返す。
お父さんを見ると
たまに苦しい。
私がお父さんを
こんなにしてしまったから。
でも顔には出さない。
お父さんはきっと
気に病んでしまう。
明るく男らしいお父さんが
悲しむ様な事をしたくない。
──ニャーン
『ジジ、おはよう。』