hatching


私は手を合わせて
目を閉じる。

そっと開いて

『最近は暖かいですね。』

なんて言ってみる。
返事は返ってこない。


「あら、お久しぶり。元気だったかしら?」


『あ、お久しぶりです。』


私はここに来る度
ここをお散歩コースにしている、
おばあちゃんと仲良くなった。


「またお供えしにいらしたの?大変じゃない?」


『いいえ、もう習慣になっちゃって。おばあちゃん体調はどうですか?』


「調子良いわ。毎日お散歩しているし。それに今日は恋さんがいるから。」


『そう言ってもらえると嬉しいです。』


なんて世間話を会う度にする。


「恋さん、そろそろ学校遅刻してしまうんじゃない?」


携帯を確認する。やばい。

『本当だ!おばあちゃん話し相手いつもありがとうございます。じゃあまた!』

そう言って手を振る。


「恋さん気を付けてね。」

穏やかに笑っておばあちゃんは手を振ってくれた。



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