hatching


ユ「秋山…。なにやってんの?」

『あ、えと…携帯忘れて、取りに来たら偶然雄飛君がまだ投げてて、綺麗だったから…』

ユ「綺麗?」


『うん、フォームとか解らないけど、投げてるところが綺麗だと思った。そしたらなんか、来ちゃった。』


表情の事は言わないでおこう。


ユ「…秋山、変わってんな。」


『そう?きっとみんな綺麗って思うよ。あと、さっきも言ったけど、恋でいいよ。秋山だとなんか、距離を感じるから…。』


ねっ!
って同意を求めた。

私の目の前の彼は
何も言わない。
ただ私を見つめてる。

視線に耐えきれなくって
下に焦点を変える。


その時風が吹いて
私の長い髪を拐っていった。


じゃあ──…


その低音に顔を上げる。



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