冬が見せた幻
着いた途端、
ふいに強い風が吹きぬける。
けれどその風はどこか優しく感じた。
と、君の声が聞こえてきた。
『…そんなに、あなたは弱くないでしょう。
私のこと、忘れたって構わないから…
時々思い出してくれれば十分。
不器用な私を、あなたは認めてくれた。
本当はずっと言いたかったのに。
………ありがとう。
大好き。
あなたは、前に進まなきゃ。
立ち止まらずに歩き続けなきゃ。
私の分まで…生きて』