トゥエルブ・マーダーズ
僕が彼に出会った時、彼はもうだいぶ落ち着いていたし、悲しみにうちひしがれたような態度でもなかったが、“諦め”という匂いは少なからず感じ取れた。
長く彼を支え続けた人々はもう……彼の味方ではないのだ、と彼が云ったからだ。
そこから彼の長い話は始まった。
自分は雨の日に生まれたこと。アインという兄の命と引き換えに生を受けたこと。
そして、
これまで、彼を支えたり、悩ませたり、励ましたり、絶望を見せたりした彼らや彼女たちの話を。