あいつ



この人に会いたくないって思った。



私は思わずタケちゃんの服を掴んだ。



タケちゃんも私の方を見て、眉間にシワを寄せていた。




「…夏紀、こいつがわかるのか?」




「わかんないよ…。でも、この人嫌…。」




私の頭が拒否してる。




「矢野、お前夏紀にだいぶ嫌われてんな。記憶ないのに嫌がられてるぜ。」




矢野という男が私たちの方に近づいてくる。
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