まぶたを開けた時
パタンと扉を閉めて部屋を出たシエナは、フゥと息をついた。
「……我慢って…キツいわよ馬鹿女」
シエナの脳裏にさっき見た君花の白い肌がチラついて、シエナは顔をパンと叩いた。
「襲ったノハあんたナノにナニヲ狼狽えテル」
「うわあっ」
シエナの前に急に現れた夜陰に、その通りの事を言われて、驚きを隠した後、目を泳がせて肩を竦めた。
「キイチにはわかんないわ」
挑発するようにシエナの口から発せられた夜陰の本名に、夜陰はシエナを鋭く睨んだ。
「その名を口にしていいのは主であるアレン様だけ」
「……そうやって普通に話したらいい声してるのに、勿体無いわねあんた」
唇尖らせて言ったシエナに夜陰は「あんたモナ」と流して君花のいる部屋のドアのぶを掴んだ。