まぶたを開けた時
あんな深いキスして、平気なわけなかった。もうシエナが男に見えるのは後免被りたい。
ハーベスト山脈の山頂がうっすらと金色に光だした。付近の空も青みが薄れていく。
「綺麗」
「そうだな」
シンの腕がギュッと私を抱えて背中にシンの体温が伝った。
「寒いだろ?」
「う、ん」
ヤバい、体が火照る。
俯くと後ろから野次が飛んできた。
「鬱陶しいのよあんたたち。やめてくださーい」
高い声、オカマ言葉。
シンのため息と一緒に私のため息も澄んだ空気に溶け込んだ。
「ウルサイヨ」
「静かにせえへんと寝たはるひとに怪しまれんで?」
夜陰とシチに言われて、シエナはさっきよりもっとむくれた。