まぶたを開けた時
「ごめんなさい」
シエナが獣を倒したのかな?やっぱり騎士だから強いんだよね
「シエナ?」
「……行くわよ。本当にあんたは人を心配させることが得意なんだから」
シエナは私から離れると目も合わせないでただ私の手を掴んで皆のところまで戻っていく。
その手は優しく守るようで居心地は悪くなかった。
***
山脈を越える。
覚悟が必要。
夜陰の後ろでシエナと並んで歩く。
少し後ろではシンとシチが色々と話しながらついて来ていた。
シエナと私はただ無言で、夜陰の鼻歌が嫌に大きく聞こえる。
夜陰は1人でご機嫌そうに鼻歌をやめない。
狐目はどこか楽しそうだった。