まぶたを開けた時
1つめの、雨。
それが海の中だなんて
「どうするんですか……」
落胆した私は背もたれに項垂れて天井を仰ぎ見た。
はぁ……あり得ない。
「君花ハ人魚伝説トカイウ話はスキ?」
夜陰は地図をたたみながら顔を傾けて私に聞く。
私の頭の中では軽快な海の下の音楽が流れて魚達や人魚が踊る風景が浮かんだ。
「好き、素敵だもん」
「ヤッパリ」
夜陰はニコリと口を弧の字にさせて笑った。
「どんな話?聞かせて下さい」
「イイよ。ア、でもそう言う話はシエナの方がウマイよ」
「あぁ、ぽい」
なんて遠い目をしたら夜陰はカタンと椅子を鳴らして立ち上がった。
「呼んでクル」
「え!?いいです!!やめて下さい!!」
立ち上がって追いかけると夜陰の手が額に当てられた。