まぶたを開けた時


窓から目を離して振り返ると、シエナのいるベッドを向いた。

シエナは私をじっと見てニッと笑った。



「……っ……」


どうしようもない感情が私を支配していく。

その感情は疑問ばかりで恐らく私には到底わかることの出来ないものばかり。


人の感情なんて私にはわからないから。



どうして触れるの?
どうして女の子になったの?
どうして優しくするの?



その疑問は上げてみれば山程あって、全てがたった1人に向けられた疑問で、


まるで自分が恋でもしているのではないかと錯覚してしまう。


でも、

好きな人いるのかな?とか
好きな食べ物は?とか
好きな色は?とか
どんな女の子が好み?とか

そういう桃色の可愛い疑問はなくて首を傾げる。



恋じゃない。のは確かなこの疑問。





< 190 / 235 >

この作品をシェア

pagetop