まぶたを開けた時
確かにどこにでもありそうな昔話。というより人魚伝説だけど、シエナが言うと何だか切なかった。
こう、胸が締め付けられるというか、
「ま、このお話しの後に絶対ついてくるのは
“海にはお姫様達が幸せに暮らしてるから遊んじゃ駄目よ”
っていう都合のいい大人の理由なんだけど。
オリビアの海は波が高いから危険なのよ」
シエナは暗い窓の外を見て言った。私はいまだにシエナに固定されていて身動きはとれない状況。
「ゆえに、って面白いよね。男がいたゆえに、ってあっはっは!!」
なんとかちょっかいかけたくて、笑ってやる、とシエナを近距離にもかかわらず指差して高笑いした。
「嫌な女」
シエナは動揺したように目を細める。
恥ずかしいんだ?