まぶたを開けた時
あの唇が私を躊躇わせて戸惑わせて困らせる。
私に涙まで流れたこともあったのに、その唇が
本当に愛しい何かに触れた訳ではなく、遊びだけで、困らせるためだけに触れたと知ると、
頭の中がカッと怒りに満ちた。
それを知らないシエナはゆっくり一歩下がって息をついた。
その表情は優しく微笑を浮かべ、半面、私を伺うような表情で、
私は怒りに満ち過ぎたせいか、怒りと言う言葉が間違ったのか
視界が揺れて、頬に一筋涙が流れた。
怒りでなければ悲しみなのだろう。
その悲しみは、困らせるためだけのキスが原因であってそうでない。
その言葉の裏腹にあるのは
そのキスに気持ちが無かった。という悲しみ。