まぶたを開けた時
シエナの一変した気迫に何も出来ないでいると、
「返事は!?」と怒鳴られた。
「わ、わかったよ」
圧されるように頷くと、シエナは頷いて二階から飛び降りていった。
「シエナっ」
心配になってシエナが居なくなった窓から身を乗り出してシエナの様子を伺う。
「お嬢さん」
頭上から、どこか陽気な声が聞こえた。
シエナじゃない男の陽気な声
バッと見上げると三階の窓の柵に足と手をかけて片手で酒を飲む男がいた。
“海賊”本物を見たことはないが、直感的にそう思った。
「ていうか、そのまんまじゃん」
ケッと海賊に向かって笑い飛ばす。
アニメーションの世界や有名な映画で見た海賊と、今目の前にいる海賊と思われる男は全くそのまんま一緒だった。
「へ?」
私の独り言に男は首を傾げながら持っていた酒のボトルを道の真ん中に投げ捨てた。