まぶたを開けた時


「アナタバカデスか」

顔を上げて様子を見ると、丁度シエナが夜陰にラリアットされている所だった。

なぜ仲間同士でプロレス?と私もロウも首を傾げる。

「いったいわねえ!!」

「何普通に正体バラシテルの」


全く、と夜陰はシエナの隣で目頭を抑え溜め息をする。


「お前ら、この女助ける気ある?」

たまらず口を開いたロウにシエナも夜陰もハッとした。


「あーっ!!君花が非常事態や!!」

斜めに外れた道から走ってきたのは買い物袋を抱えたシンとシチ。


「え?何みんな仲間?今俺って4対1?」


助かった。と胸を撫でおろすと、ロウはニヤリと笑い膝を曲げた。


「お嬢さんよく歯、喰いしばってね」

安堵感はどこへやら


ロウは高くジャンプすると建物の柵に掴まりみるみるうちに屋根の上に登っていった。





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