まぶたを開けた時


「ちょっ」

口を挟む隙もなくロウは軽々と走り出した。


シエナ達はロウの船の海賊達数名が周りを取り囲んで応戦する。

「……っち」

シエナは去るロウを目で追いながら目の前にいる海賊の男を持っていた剣で峰打ちし気絶させた。

「殺しちゃ駄目ってば」

シンは剣を抜くと凶変するシチの手を抑える。

「なんで?君花が連れ去られてんで?」

ニタリと笑いながらもシチは渋々剣を梢に収めた。

「追うわ」

シエナも剣を梢に収めてキッとロウを睨む。公道の真ん中でこれだけの騒ぎを起こしたというのに、人々は平和を取り戻したとばかりに日常の生活をし出していた。


提灯の明かりが続くメインストリート。次第にロウと君花は闇に消えていく。


「待って」


行こうと一歩踏み出したシエナの足をとめたのは先程助けた町の女の子だった。




< 210 / 235 >

この作品をシェア

pagetop