まぶたを開けた時


海賊達が「出港だあ!!」と叫ぶなか、ロウは口笛を吹いて私の頭をワシャワシャと撫で上げた。


「悪いことはしない。ちぃっとばかし夜の相手をしてくれればそれでいい」

誰が!!とロウの手から逃れてキッとロウを睨み付けた。

錨が上げられ徐々に港から離れていく巨艦。


見えるメインストリートはガヤガヤと賑わっていて、まるで何もなかったかのよう。

そして

「わっ」

感激に声を上げ口を手で抑えると甲板から船の端にいきその感激の物を見た。


「素敵」

砂浜の向こうで高い塀の中に厳かに佇む東の国オリビアのお城。

「あぁ。東の国の城は最高だ。でも、海の中にある城はもっと最高だ」

ロウは私の隣に来てニッコリ笑った。

「海の中」


人魚伝説。一つめの雨、ロウなら連れて行ってくれるかもしれない

私はそう思い口を開こうとした。





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