まぶたを開けた時
夜陰の頷きは、私に行けと言っている気がした。
まああの狐目で夜陰の本意を知るなんて難しいからそこのとこはわからないんだけど。
ロウはニッコリ笑って私の手を握り返す。
その時、アイリリードのうめき声が聞こえた。
「なら、あたしもこの船に乗るわ。案外女よりいいわよあたし」
ウフンと色っぽい声を上げてアイリリードの腕に絡み付くシエナ。
「見張り役ってわけですか。いいでしょう」
アイリリードはシエナを毛嫌うように払いのけて夜陰を指差した。
「あなた、西の国の夜陰でしょう。
あなたは船を降りて下さい」
夜陰はいつもの表情で首を傾げて少し笑う。
「マあ、夜陰を船に乗せないのがアナタタチニとって得策デショウネ」
「ああ」
アイリリードは再び絡み付いてきたシエナを振り払いながら怪しく笑った。