まぶたを開けた時
「あら妬くわね。君花ってそんな愛想あったっけ?」
「ロウの武勇伝はとびきり面白いの」
思い出して笑いそうになった気持ちを急いで制してからシエナの腕に顔を埋めた。
「まだ寝てちゃ駄目?」
欠伸のしすぎで涙が頬を伝う。泣くほどの欠伸なんて久しぶりだ。
「とっくに旧城についてるんだけど近くに島があるからそこに向かってる」
ってことはもう着く?
ああ死ぬ
そう確信しながらシエナの腕の中で目を瞑る。このまま寝てしまうのは難ではない。
「着くまでは休んでていいですよ」
「本当?じゃあアイリリードの部屋を借りるわ」
遠くで聞こえている会話に綻びながらシエナに抱き上げられてユラユラしているうちに私は完全に夢の世界に誘われた。