まぶたを開けた時


君花とロウが昨晩何もなかったとわかっていてもシエナは少しだけ落ち着かなかった。

「駄目だ。寝れない」

バッと起きて君花を見る。
君花はすでに規則正しい寝息をたてていた。

この様子を見るからに何もないとわかるというのに収まりきらない思いが膨れる。

「遊びじゃ済まないんだってば」


気持ちを制して
それから自分の頭を叩いた。
あたしは女だってば

思うのにやっぱり体は男というかなんというか。


「ね、君花」

起きて、と肩を揺すると君花が鬱陶しそうに体を起こした。

「今すっごい楽しい夢見てたのに。寝てる時はデリケートなんだから起こさないでよ」

虚ろな瞳はどこか不機嫌そうで、そんなことお構い無しにシエナは君花の肩を掴んで目を強く合わす。


「昨晩、ロウと何もなかったのよね?」





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