まぶたを開けた時
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「キイチ」
「アア……待ちマシタよ。アレン様」
フィナンシェ国とコレッタ国とを跨ぐハーベスト山脈のふもとに、荘厳と佇む平屋
そこの扉を開けてアレンは中をぐるりと見渡した。
城を抜けてアレンは国をも抜けようとしていた。そのまえに、と立ち寄ったのは、
城に遣える“夜陰”がここで心力を高める場所。
“バク”
声は聞こえたが玄関から見える場所には人の姿はない。
「そうゆうのいいから。早く出てきて」
中に入ると扉を閉めて人の気を読む。
でもさすが夜陰、少し訓練したくらいの王子になんて気は読めなかった。
「まだまだデスねー」
そう言って白基調の部屋のソファーに男が姿を見せた。