まぶたを開けた時
第二章 <勃発>
今夜は雨だった。
こっちに来てから初めて見る雨は、不思議だった。
窓ガラス越しに私はこの不思議な光景を目に焼き付けるかのように見ていた。
雨が降っているのに、虹が出ているのだ。七色に輝く虹が。
向こうに見える山脈から街のあたりまでかかる大きな虹のアーチ
まるで登れるのではないかと思うしっかりとしたそれは、雨に消されることなく数時間このままである。
そして、もう一つの不思議は空に浮かぶ星。
雨雲に覆われてもなお輝きを天にする。
月は隠れて無い。
そのせいで今夜は酷く暗かった。
凄く不思議で幻想的な雨空。それなのに街の人は誰もそれを気にかけることはない。