まぶたを開けた時


夜陰はアレンを抱き上げてソファーに下ろすと自分も座った。



「サアアナタも座って下さい」


進められても座る気になれない。



「まあ。イイです。それより、今夜のアメは綺麗でしょう」

「そ、そうなの!!凄く綺麗 !!」



やっとこの雨の話しが出て私は少し声を高めた。



「アナタにしか見えないのデスヨ」

「…………へ?」




私にしか、見えない?




「コレはワタシが作った幻覚デす。
少しデモ楽しんでイタダケタラと思いましたが」



そうではナカッタようですね。と夜陰は消えるような声で言った。

それは私が泣きかけだからだろう。



こんな世界嫌だから
余計嫌になった。

魔法なんて、私の世界にあれば嬉しいけれど、なんだか、寂しい。


ここで見る魔法は凄いし楽しいけれど、寂しい。





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