手のひらに、桜
零枚目



『舞い落ちる桜の花びらを掴めたなら、幸せになれるんだよ』




昔、おばあちゃんがそう言っていた



でも、おばあちゃんは掴めなかったのだ、と




だから、おばあちゃんが苦しんでいた時、

私は桜の木の下にいた



桜の花びらを、私がおばあちゃんの代わりに掴んで、

幸せをあげよう



そんなことを考えながら、私は桜の木の下で、

一生懸命に手を振り回していた



でも、桜の花びらは、私の手のひらを通り抜けるだけ



そんなことをしているうちに、


大好きだったおばあちゃんは死んでしまっていた....




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