手のひらに、桜



そんなことを考えていると、

由利にひじをツンとつつかれた


なに?

的な目で、チラッと見ると、

由利は必死な顔をしながら、帰らないでと小声で訴えてきた



いや、さすがにそんな殺生なことはしないよ

由利はともかく、龍見先輩に失礼だし

ちょっと考えたけどさ



そう思いながらも、必死な由利が可愛くて、

思わずクスリと笑う


それから、不安そうな由利に大丈夫、と呟いてやった



大丈夫だって!

帰らないよって



なんだか、小さな子供を見ている気分になってきた




「こいつ・・・本気で橋本由利か?」



龍見先輩は、そんな由利を見て

一言呟く



なにそれ・・・

たしかに子供っぽいけどね


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