手のひらに、桜


後で、こっそりと話している大人たちの声を聞いた





「おばあちゃんが苦しんでいる時に、桜で遊んでいたあの子の気が知れん」




「あの子が孫やなんて、ばあちゃんは、最後まで不幸だったな・・」







あの子が誰を指すのか、それはすぐに分かった





遊んでいたんじゃない

おばあちゃんに桜をあげたかったの―――




そう叫びたかった





でも、


おばあちゃんは、最後まで不幸やった


その言葉が胸を刺して、何も言えなかった



私は、おばあちゃんに幸せになってほしくて、桜を掴みにいっていた




だけど――――



私のせいで、おばあちゃんは幸せになれなかったの?



私はおばあちゃんを不幸にすることしか出来なかったの?






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