手のひらに、桜
「ごめん!本当に、無神経すぎた」
でも先輩が
あまりに必死に頭を下げるもんだから、
私は、先輩のほうをもう一度だけ向いた
その私を見て、先輩は
私の手をもう一回握った
ビクッとしたけど、今度は力が強くて
ふりほどけない
先輩は、私の手に何かを握らせた
「さっき言いかけた続き、言わせて」
もう帰る、と言いたかったけど
先輩がやけに真剣な顔をしてて、
私は何も言えなかった
「もし、紡ちゃんが掴めなくても、俺が掴んであげるから」
なんか、キザな言葉だと思った
でも、ふざけているとは思えなかった
先輩が、さっきから変わらずに真剣だったから...