手のひらに、桜



“河童ウサギ”のお腹を見ると

まだ5時58分だった


どうやら、

間違って目覚ましを設定してしまったらしい


いつもは7時前に起きるのに



でも、もう一回目を瞑るのも面倒だ



私は、ベッドからおりると

大きく伸びをしてカーテンを開く


朝早いから、光が差し込んではこないが

そのことは別に嫌じゃなかった


むしろ、朝のこの薄暗さは好きだ



でも、これじゃ何も出来るはずがなく

私は部屋の電気をつける


そして、近くにあった本に手をやった


パラパラ、とその本をめくる




『―――桜の花びらが、ひらひらと落ちてきた。もう―――』



ふと、そんな一行が目に留まった


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