手のひらに、桜


そこで、ハッと我に返った私は、首を横に振った


先輩に会ったのは昨日が初めてなのに

そんなことを思うなんて、

私、どうかしてる...





「紡ー!!もう、朝よ」



頭がこんがらがってきそうだったとき、

ドアの外から母さんの声が聞こえた


“河童ウサギ”の時計は

もう6時48分だった



もう、考えるのは止めとこう




私は「はーい」と返事をしながら、

立ち上がった



そして、

制服のポケットの中から

桜のキーホルダーを取り出して

ポイッとベッドの上に放った




桜嫌いの私に、こんなものを渡すなんて

やっぱり先輩は最低な人だ...



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