手のひらに、桜




「あのさ…その、」



それから、橋本さんは顔を赤くしながら

照れたように、でも真剣に

小さくそう言った



「ん、何?」


私は短くそう返す


橋本さんは、そんな私にもう一度あのさ、と呟くと



「龍見先輩のこと、好きにならないでね」



顔を真っ赤にしながら、そんなことを言った


思っていたのと全然違う言葉に、

思わず呆れる私に



「ホントのホントにかっこいいの。

だから、紡ちゃんが惚れちゃわないか心配で…」



と、泣きそうになりながらさらに言う橋本さん


なんか、ホントに…


恋する乙女だね。

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