世界で君だけ。



「えっと、あの。

なんで今日、音楽室にいたのかなぁって思って……」



私がそう言ったとたん、先輩が少し黙った。



もしかして私、

聞いちゃいけないこと聞いちゃったとか?




『あー、俺ピアノ習ってたことあって……

たまにあの音楽室に行って弾いたりしてるんだ』


先輩ってピアノ習ってたんだ。

先輩にさらにステキ要素が増えた気がした。



「私も習ってたんですよ〜。

おっきい洋館に住んでる綺麗な人に教わってたんです。

でも急にその洋館が空き家になっちゃって、別のところに通ったんですけどね」


私がそう言うと、先輩はまた黙りこくってしまった。


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