ポケットの恋
「別に…あっちから別れるって言ってきたので。それに応じただけです」
うっわーと、次田は大袈裟に声をあげた。
「そこでさらっと別れちゃうとこが古谷だよなー。でもさぁ、そうやって簡単に別れちゃう子と付き合うなよなー。しかもいい具合に期待させるだろお前。ぜんっぜんキモチないくせに」
古谷は深いため息をついた。
次田は無駄にするどい。
「いいでしょ。なんでも」
「よくねーよ!そういう点では南部の方がずっと上手かったぞ!つーか、どうせ別れるならきちんと断ってこっちに回せよ!」
「さっき彼女大事にしてるっていってませんでしたか」
「だから礼儀作法!お前は知らないかもしんないけどね。俺は彼女と超上手くいってんの。女の子の気持ち一つ考えられないキミに言われたくありませーん」
「あのですね。俺と別れた途端、先輩に合コンのセッティング頼むようなのが、傷ついてるとか思います?」
その言葉に次田は「当たり前だろうが!」と大声を上げた。
「傷ついてて忘れたいから合コン、てこと!」
「はぁ…女の思考はよくわかんないですねぇ」
頭をかきながら言う古谷に、お前には一生わかんねーよと次田は毒づく。
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