ポケットの恋

「は？なんでですか」
「由利と別れちゃったでしょー？その事でちょっとアドバイスっていうかぁ…」
次田への質問だったのに、聞いてもいない女が甘ったるい声を上げた。
「アドバイス？」
聞き返すと、「そう！」と言って女は一歩古谷に近づく。
他の女二人も意味もなく笑うと、その周りに寄ってきた。
「なんか秋田真実と浮気したのが理由って聞いたんだけど…」
どこから回ったその情報。
疑いの眼差しで次田を睨むと次田はぶんぶんと首を振った。
溜め息をつくと今度は違う女が喋り出した。
「あの人止めた方がいいと思うよー？性格きついしさぁ」
さも人助けというような恩着せがましい口調。
周りの女達がそうそうと声をあげる。
知らない内に舌打ちをしていた。女達がびくりと黙り込む。
それを睨みつけて、古谷は躊躇なく言った。
「お前等さ、恥ずかしくない訳？そんな悪口わざわざ他人に知らせにくるような女の方が、よっぽど性格悪いと思うんだけど？」
「なっ…なにそれぇ！」
相変わらず、不本意そうにあげた声は甘ったるい。
「悪いけど…気持ち悪いから。キミら」
次田が何やら視線で訴えてくるが無視だ。