ポケットの恋

「寂しいこと言うなって」
いいながら噂の次田先輩は秋仁の肩を抱いてくる。
「ちょっ…!やめてください」
「良いではないか良いではないかー」
「ぅわっちょっ…あ゛ー!!」
肩に顎を乗せられて、カックン。地味な嫌がらせだ。
「ちょっ…！やめて下さい！」
「来たねーカックン。それ地味に嫌だよね。次田先輩！もっともっと！」
逃げ腰になった南部を押さえながら、古谷が横からちゃちゃを入れた。
「あ、そう？もっといる？」
「いるか、馬鹿！」
口走って慌てた。
余計に絡まれるコースに入った気がする。
「あら！先輩に向かって馬鹿はないだろー」
「そ、そんなことより！」
無理矢理話題を反らそうと、先程の携帯を突き出した。
「これ、どうしたらいいですか」「向こうから取りにくんだろ？とりあえず保管でいいんじゃねーの」
「…ですよね」
ごもっともな返答にため息をつくと、横から古谷が携帯を取り上げた。
「中見りゃいいじゃん」
言いながらいじりはじめる。
「おい、それはまずいだろ」
「大丈夫だよ。こういうのはさ、リダイアル使うんだよ。電話は普通、仲良い奴とするだろ。仲良さんだったらちゃんと取り次いでくれんじゃん」