ポケットの恋
メールを送った後、しばらくして、真実の携帯が震えた。
「なんだって?」
真実は、ちょっと待って、と呟きながらメールの画面を開く。
幸日からのメールを見て、真実はにっこりと笑った。
「大丈夫だって。楽しみにしてるってさ」
「おぉー!じゃあ土曜日で」
「ちょっと待った。南部さんは?」
真実が呆れ顔で尋ねる。
古谷は「大丈夫」と頷いた。
「秋仁は平気だよー。今月の残りのバイトのシフト、俺と全く一緒だし」
「よぉーし!」
真実は腕まくりすると拳を空に突き上げる。
「頑張ろ!」
そうして古谷に笑い掛けた。
古谷はその真実を見て堪えきれないというようにまた笑い出した。
真実ががっと真っ赤になる。
「な…何よ…!!」
「別に…」
古谷は笑いながら言う。
真実はその古谷をぎろりと睨み付けると立ち止まった。
「もういい!あばよ!」
ヤケクソに怒鳴る。
古谷は真面目な顔を作ると、待って待ってと真実の服を掴んだ。
「ごめんごめん。今日は送らせてよ」
「やだよあばよ!」
真実は同じ調子で怒鳴る。そこで古谷はまた噴き出した。
「ははっ…真実ちゃんかーわいっ」
「くたばれ!!」
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