ポケットの恋
顛末を話し終えたのか、しばらくして幸日と真実が小走りに南部の前に来た。
「我が儘言ってすいません」
頭を下げたのは真実だ。
「そんなことないって」
笑って言うと、真実は少ししてから決まり悪そうに顔を上げた。
「じゃあすいません、失礼します」
もう一度頭を下げ、歩き出す。幸日は焦ったように南部に礼をすると、古谷の方に向いた。
「よし君…」
なんと言っていいか迷ってしまったらしい幸日に古谷は微笑んだ。「ごめんね戸田」
その言葉に幸日は目を見開いて、同時に真実が行ってしまったことに気が付いたらしい。
おたおたと、古谷と真実を見比べ、「気にしないでね」と声をかけた後、慌てて真実の後を追ってかけて行った。
南部と古谷もその後に続く。
前を行く二人は、走らなくても追いつける程度のスピードと距離だった。
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表紙・目次

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