ポケットの恋
14
遊園地の敷地から外に出ると、反動からか、急に人がいなくなった。
まだ明るい時刻だ。
入る人も出る人もいないせいでもあるだろう。
遊園地から離れて、人通りの少ない路地に入ると、余計に静かになる。
真実と幸日は時々小声で何か話しているようだが、古谷は無表情であるいているだけだ。
そんな中に、幸日の小さな悲鳴が響いた。
彼女の足が止まって、必然南部と古谷が追い付く形になる。
「どうかした?」
南部が話し掛けながら見ると、幸日の手には携帯があった。
幸日は何も言わない。
「幸日、どうしたの」
動かずにじっと携帯の画面を見詰めている幸日に、真実が痺れを切らしたように言った。
それでも返事をしない。
「幸日?」
真実はさっきよりも不安気に問い掛けた。
「携帯がどうかしたの?」
その言葉に、ようやく幸日が真実の方を向く。
手の方はぎこちなく携帯を畳んで鞄におさめる。
「なんでもない」
そういって、真実から携帯を入れたバッグを遠ざけようとする幸日の手を、真実は素早く掴んだ。
そのまま、さっとバッグに手を突っ込む。
「大丈夫な顔じゃないでしょ」
「あっ!真実ちゃんちょっと…!」
幸日を無視して、真実は幸日のバッグから携帯を取り出した。
止める暇も与えずに携帯を開くと、受信メールの画面のままになっていた。
内容をみた真実の表情がさっと変わる。
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