ポケットの恋
「…どういうことよ」
「俺ら男と遊んでたからって考えるのが妥当だろ」
「だから何」
「そういうちょっとしたことでかっとなるタイプってこと。無理に動いたら何されるかわかったもんじゃない」
ぐっと真実が押し黙る。
しばらくしてからやっとつぶやいた。
「………わかった」
自分の言ったことが冷静になって考えれば間違えていると悟ったらしい。
真実は小さく頷いた。
「じゃあ帰ろう」
幸日が明るい声をあげて真実の手をとる。
その手が震えていることに、真実は気付いたが何も言わなかった。
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