ポケットの恋
かくして週明け月曜日。
南部と古谷は幸日と真実を探していた。
次田の言っていた通り二人は有名らしい。
学部を知ろうと名前をだすと友人達はすぐに教えてくれた。
幸い同じキャンパスの違う階だったので二人して移動する。
その移動中の廊下で早速古谷が二人を見つけた。
それと同時に向こうも古谷と南部の存在に気がついたらしい。
真実が盛大に顔をしかめ、幸日はあっと驚いたような顔をした。
南部がなんと声を掛けようか迷っていると、思いがけず、幸日が先に口を開いた。
「あのっ…お店に、携帯落ちてなかったですか?」
いきなり核心で、内心少しがっかりする。
「あぁ。これだよね。届けに来た」
持っていた携帯を差し出すと、幸日がホッとした顔をした。
ありがとうございます、と受け取ったあと、ふと不思議そうに首を傾げる。
「あれ…でもなんであたしの携帯って…」
「あっ!ごめん!リダイアル見て、秋田さんの名前入ってたから…ごめん勝手に」
正確には開いたのは古谷だが、もちろん連帯責任のつもりだ。
「あ、そうなんですね」
「ごめん…」
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