ポケットの恋

真実がめずらしく用事があるというため、幸日は一人、大学の図書館に来た。
周りに人が沢山いれば、一人でいるより安全だろうし、本を読んでいれば気も紛れる。
読まないままのメールは、もう１５０件を越えていた。
いつの間にかついた癖で、ちらりと後ろを振り返りながら、幸日は図書館に続く螺旋階段を上りきって、図書館の扉を開いた。
空いている席を探してフロアを見渡していると、ふと知った名前が耳に入った。
気になって、棚のかげからひょこりと顔を覗かせてみると、今丁度通ってきた扉の奥に、想像していた通りのメンツがそろっていた。