ポケットの恋

「ああ…邪魔かな」
皮肉たっぷりに片笑みで答えた。「そういうんじゃ…ないけどっ」宮川は真っ赤になって俯く。
「…なんか用事？」
黙り込んでしまった宮川に南部が話し掛けると、彼女はばっと顔を上げた。
それからしばらく視線を迷わせてから、歯切れ悪く喋り出す。
「あの…ちょっと二人っきりが良いっていうか…」
南部が曖昧に頷きながら古谷の方をちらりと伺うと、古谷はまたこれ盛大なため息をつきながら、ひらひらと手を振った。
「いーよ。俺先行って席取っとく。ごゆっくりどーぞ」
古谷が言うと、不安げにしていた宮川はパッと顔を輝かせた。
「ごめんね！良行くん。せっかく一緒にいたのに」
申し訳なさそうに言っているが、喜んでいるのがバレバレだ。