ポケットの恋
「はぁ?」
さらに思いも寄らない言葉に、南部はさらにほうけた声をあげた。しばらく沈黙になる。
「やっ…やっぱり付き合ってるよね!」
やがて沈黙に耐え兼ねたように宮川は声を上げた。
「ごめんね…なんかあたし変なこと…」
「いや。付き合ってないけど」
南部はなおも何か言おうとしていた、宮川の言葉を遮った。
「別に、普通に友達。それがどうかした?」
今度は宮川が呆けたように南部を見た。
その顔が徐々に赤みを取り戻していく。
「そうなの?!」
弾んだ声をあげて上目に南部を見る。
「あぁ、まあ」
南部がくしゃりと髪をかくと、その前で「じゃあっ」と意気込むように言った。
「あたしとっ…付き合ってもらえませんか…っ」
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