ポケットの恋
だからわざわざ元気だとアピールする為にあの態勢で待ってくれていたのだろう。
花瓶の水を取り替えて、花を元通りにいけながら、真実はまた大きく溜め息をついた。
あたしが遠くの大学に進学しないでいれば、もっと頻繁にお見舞いに来れたのに。
母はこんなに頻繁に、などと言ってるが、実際これているのは二週間に一度程度だ。家族にしては少なすぎる。
でも、真実が大学を決めた時、一番応援してくれたのは母で、合格した時、一番喜んでくれたのも母だ。
あたしが心配かけるわけにいけない、と真実は病室に入る前に気持ちを切り替えた。
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