ポケットの恋

「ごめんって。真実ちゃんいたからつい昔の調子でさぁ。べつに良いだろ、友達じゃん」
ぴくりと、古谷は反応した。
友達だろ、なんて陳腐な台詞を何度我慢したか。
友達が、友達の大切な人を傷つけていいのか。
友達が、全ての免罪符になるとでも思ってるのか。
「おまえらは友達だと思ってない」
怒りに任せて、古谷は普段絶対口にしないような事を吐き出した。
俺の友達は、もっと素直で一生懸命で純粋で、まず人を気にするタイプだ。
嫌われたかよりも、傷つけたかを気にするタイプだ。
お前らが、友達面するな。